石灰沈着性腱板炎の診断は?専門医が解説

こんにちは。札幌市豊平区の日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医の合六孝広です。

中高年で肩の痛みにお困りの皆様!肩の石灰が原因かもしれません。

この記事は以下のような人にお勧めです!

・病院で肩に石灰があると言われた人

・石灰沈着性腱板炎の治療をしてるけど、痛みがとれない人

この記事を読めば、石灰沈着性腱板炎の診断方法、治療をしていく上で必要な検査がわかります。

石灰沈着性腱板炎が、どのような病気か詳しく知りたい方は「肩に石灰?原因、経過、なりやすい年齢は?専門医が詳しく解説」をご覧ください。

レントゲン検査

診断において、必須の検査です。通常、3方向(正面、側面、上方)から撮影します。さらに詳細に評価する際は、さらに2~3方向追加します。石灰の見え方で、大まかに2つのタイプに分けられます。

石灰沈着性腱板炎のタイプ1

・綿毛のようなふわふわした形
・輪郭もはっきりしない

石灰沈着性腱板炎のタイプ2

・等質的な濃い
・輪郭がはっきりている

骨と石灰が重なるとわかりにくいこともありますが、3~6方向撮影すればよほど小さい石灰以外は見逃されることはないでしょう。また、よほど小さい石灰ならば痛みの原因になってない可能性がい低いでしょう。

右肩正面レントゲン像

矢印部分にある白いものが石灰

MRI(核磁気共鳴画像)検査

私は、必須の検査と考えています。その理由は、「石灰沈着性腱板炎の症状は?専門医が解説」で書きましたが、石灰がある人で肩が痛くなるのは35~45%しかいません。つまり、石灰があってもこれが痛みの原因とは、言えません。

そこで、もっとも多くの情報を得られるMRIでその他の病気がないか確認します。
特に腱板断裂の合併がないかを確認することは非常に重要です。
以前は腱板断裂の合併は、稀とされていました。しかし最近のMRIでの報告では、比較的高率に腱板断裂を合併しているとされています。完全断裂が3.5~4%、不全断裂が24.4~52%となっています。
特に完全断裂に関しては治療方法が異なってくるので、注意が必要です。

腱板断裂がない場合でも、石灰、腱板、肩峰の関係がわかるので治療を計画する上で役立ちます。

超音波(エコー)検査

レントゲンよりも小さい石灰を観察できます。そのため、保存治療の効果をより正確に評価できます。

また、レントゲンよりも石灰の場所を正確に評価できます。

そして、最も超音波(エコー)検査が大事な理由は、石灰の質がある程度予測できる点です。
「肩の石灰が消える?石灰穿刺法について詳しく解説」で解説してますが、石灰穿刺法で石灰が消えやすいタイプか予測できます。そのため、「保存治療をどのくらいの期間するか?」の判断に役立ちます。

まとめ

  1. 石灰沈着性腱板炎の診断には、レントゲンは必須の検査
  2. MRI検査と超音波(エコー)検査は、ほかの病気を見つけることや治療方針の決定、治療効果の評価に役立つ

石灰沈着性腱板炎の病態、症状、治療法などに関して他の記事で解説しています。ぜひ、そちらもご覧ください。

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