肩を動かせない!急性期の石灰沈着性腱板炎の治療方法を専門医が解説

こんにちは。札幌市豊平区の日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医の合六孝広です。

中高年で肩の痛みにお困りの皆様!30代から50代の肩の痛みの原因に石灰沈着性腱板炎があります。

この記事は以下のような人にお勧めです!

・病院で肩に石灰があると言われた方

・中高年で急に肩の激痛に襲われた方

この記事を読めば、激痛が特徴の急性期の石灰沈着性腱板炎の治療方法が解ります。

この記事を読む前に、「肩に石灰?原因、経過、なりやすい年齢は?専門医が詳しく解説」を読むと以下の内容がさらにわかりやすいと思います。ぜひご覧ください。

急性期の石灰沈着性腱板炎では、何が起きてる?

肩が痛くてまったく動かせない急性症状の場合、石灰が炎症細胞によって吸収されようとしているときです。石灰は濃いミルク状もしくは柔らかい練り歯磨き状であると言われています。

石灰が肩峰下滑液包下や滑液包内に破れ、強い炎症反応を起こしています(右図)。

治療方法

三角巾の使用

肩の安静のために、三角巾を使用します。

非ステロイド性抗炎症薬の内服

炎症、痛みを抑えるために内服します。消化器症状の発生に注意します。
ロキソプロフェン(ロキソニン®)、セレコキシブ(セレコックス®)、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン®)などの薬剤になります。

ただし、これだけで痛みを十分に抑えるのは難しいです。

肩峰下滑液包内へのステロイド注射

ステロイドは炎症を強く抑えてくれるので、滑液包内に注射します。私は、トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト-A®)を使用してます。

強い痛みは、かなり軽減します。

石灰穿刺法

最も論文数が多い治療方法で、良好な治療成績が報告されています。

石灰の吸収期ではありますが、何もしないと石灰が腱板内に残存することがしばしばあります。そのため、ある程度の大きさのある石灰の場合、よく行われる治療です。

石灰に針を刺すことによって、石灰を散らすという方法です。

くわしくは、「肩の石灰が消える?石灰穿刺法について、詳しく解説」をご覧ください。

シメチジン、ファモチジンの内服

シメチジン(1日400g)、またはファモチジン(1日20㎎)を内服することで石灰の吸収が促進されたという報告があります。消炎鎮痛剤の副作用である消化器症状の予防にもなるので、選択肢となる治療方法です。

まとめ

石灰沈着性腱板炎の急性期は、保存治療で症状がよくなることが多いです。まずは上記治療を受けることをお勧めします。

慢性期の石灰沈着性腱板炎の治療方法に関する記事も書く予定です。そちらもぜひご覧ください。

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