肩の腱が切れた!腱板断裂とは?専門医が解説

こんにちは。札幌市豊平区の日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医の合六孝広です。

中高年で肩の痛みにお困りの皆様!肩の痛みと言えば、五十肩を思い浮かべる人が多いと思います。
でも、次に頻度の多い病気に腱板断裂があります。

この記事は、以下のような人におすすめ!

・病院で肩の腱が切れているといわれた方

・肩の痛みが続いている中高年の方

この記事を読めば、腱板断裂とはどんな病気かわかります。

腱板とは?

肩甲骨から始まり、上腕骨の上の部分(上腕骨頭)を包みこむように付着する4つの筋肉の総称です。

・前方(腹側)  ~ 肩甲下筋 
・上方(頭側)  ~ 棘上筋
・後上方(背頭側)~ 棘下筋    
・後方(背側)  ~ 小円筋
という筋肉です。

右肩を外側から見た写真
右肩を正面から見た写真
右肩を後ろから見た写真
右肩正面断面図

4つの筋肉が上腕骨に付着する部分は、腱となっています。この4つの筋肉の腱が一体となって、板のように見えたので腱板と呼ばれるようになりました。

肩の筋肉の中で、「命」と言っていいと筋肉です。いわゆる肩のインナーマッスルと呼ばれている筋肉です

さまざまな肩の病気の治療を考える時、腱板の機能をいかに回復されるかが大事となります。

腱板断裂とは?

その名の通り、腱板が断裂する病気です。

通常、上方(頭側)にある棘上筋から断裂します。そして徐々に棘下筋や肩甲下筋にも断裂が広がっていきます。

正常肩では、腱が上腕骨の外側部分まである。

断裂している場合は、腱が引き込まれて、上腕骨の外側の上の部分(矢印の白い部分)がむき出しになっている。

正常肩の正面断面図

腱板の完全断裂の正面断面図
腱板が断裂して、上腕骨外側までの連続性がなく穴が開いた状態である。これを腱板の完全断裂という。

腱板完全断裂と不全断裂の違い

腱板完全断裂とは、腱板に穴が開いている状態です。4つの筋肉の腱が全て断裂しているわけではありません。一つの筋肉の腱に穴が開いていれば、小さい穴でも完全断裂です。

また、必ず完全に断裂するわけはありません。連続性を保っていて、完全に穴が開いていない断裂もあります。
これを腱板の不断裂、または部分断裂と言います。不全断裂には3種類あります。
・関節面断裂
・滑液包面断裂
・腱内断裂
です。腱内断裂は比較的稀なタイプです。

関節面断裂

腱の下の部分(関節面側)が断裂してい

滑液包面断裂

腱の上の部分(滑液包面側)が断裂している

腱内断裂

腱の中が断裂している

・ある程度の大きさの完全断裂は、手術が必要になることが多いです。
・小さい完全断裂や不全断裂は、まず保存治療(薬や注射、リハビリなど)を3~6か月することが多いです。それで痛みが取れなければ、手術となります。

まとめ

  1. 腱板とは、肩で最も大事な筋肉である。
  2. 腱板断裂とは、腱板が断裂する病気である。通常、棘上筋から断裂する。
  3. 断裂の程度によって、治療方法が異なってくる。

これから、腱板断裂の原因や自然経過、症状、治療方法などの記事を書いていく予定です。
ぜひご覧ください。

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