こんにちは。札幌市豊平区の日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医の合六孝広です。
中高年で肩の痛みにお困りの皆様!肩の痛みと言えば、五十肩を思い浮かべる人が多いと思います。
でも、次に頻度の多い病気に腱板断裂があります。
この記事は、以下のような人におすすめ!
・肩の痛みが続いている中高年の方
・転んだ後に肩の痛みが続いている方
この記事を読めば、腱板断裂の症状がわかります。
腱板断裂の症状
腕を上げることができない
転倒して、
・肩を地面に直接強くぶつけた
・手や肘から落ちて肩に間接的に大きな力が加わった
直後から、急に腕をほとんど上げるできなくなります。ただし数日すると切れた腱の働きを他の腱が代償できるようになり、腕をある程度上げれるようになることもよくあります。
また老化現象で腱板が知らないうちに断裂していることが、年齢とともに増加してきます。その場合、徐々に腕を上げることができなくなります。
どちらの場合も、動画「腱板断裂によくある症状 ①」のように痛くないほうの手で手伝ってあげると上まで上げれることが多いです。
腕を上げる途中で痛い
自分の力で腕を体の横から上げる動作(外転)のときに痛みが出ます。腕で体の横から降ろす動作(内転)のときに痛みが出ることもあります。
特に角度が60度から120度の間で痛みが出ます。これを有痛孤徴候と言います。
肩の外転と内転
どうして60度から120度の角度で痛みが出るかというと、腱板断裂部と肩峰下面がこの角度の時にぶつかるためです。
有痛孤兆候
小さい断裂でも非常に痛がる方をときどき経験します。
そのような人を手術すると断裂部がめくれ上がるようになっていて、肩峰下面と強くぶつかり合っているのが観察されます。同時に腱板や肩峰下滑液包が強く炎症を起こしています。
痛みの強さと断裂の大きさは、相関しません。
脇を開けての動作がつらい、継続できない
・髪を洗う
・洗濯物を物干しにかける
・ビールをジョッキで乾杯する
・ペンキ塗りをする
などの動作をするのが辛くなります。私たちはふだん意識してませんが、これらの動作の時に外転と外旋の働きをする筋肉を使っています。腱板は、これらの動作をするときに、働く主要な筋肉です。
そのため腱板が断裂するとこれらの動作ができなくなったり、長時間続けることが困難になります。
普通に手を口に持っていけない
正常の場合は写真Aのように手を持っていくと思います。この時、肩を45度くらい外旋した状態になっています。
腱板断裂の中でも、非常に大きく断裂している(棘上筋、棘下筋、小円筋も断裂している)場合、手を口にもっていくのが大変になります。
外旋筋力がなくなると写真のように肘を高く上げて、手首を手の甲側に反らすことで何とか手を口にもっていきます。専門的に言うと角笛吹き徴候と言います。
内旋、結帯動作で痛い
脇を開けた状態での内旋や結帯は手を下から背中にもっていくことをいいます。この動作では、腱板断裂部と肩峰下面がぶつかりやすくなります。そのため、痛みがでます。
ただし、この症状はほかの肩の病気でもよくあるものです。
夜の痛み
夜痛い、痛い肩を下にして眠れない、朝方痛いという症状があります。ただし、この症状はほかの肩の病気でもよくあるものです。
安静時の痛み
じっとしていても痛みが出ることがあります。ただし、これも他の肩の病気でもある症状です。
まとめ
1.上記症状のうち、複数の症状があれば腱板断裂の可能性が高いです。特に角笛吹き徴候があれば、相当の確率で腱板断裂があります。
2.断裂の大きさは、肩の痛みと相関しないです。軽い痛みでも継続するなら精査をお勧めします。
今後、腱板断裂の原因、診察方法、診断方法、治療方法などを
解説予定です。ぜひご覧ください。