こんにちは。札幌市豊平区の日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医の合六孝広です。
中高年で肩の痛みにお困りの皆様!肩の痛みと言えば、五十肩を思い浮かべる人が多いと思います。
でも、どんな症状か詳しく知らない方も多いと思います。
この記事は、以下のような人におすすめ!
・病院で五十肩と言われた人
・肩の痛みが続いている中高年の方
この記事を読めば、五十肩の症状が分かります。
用語解説
自動運動
自分の力で動かす運動のことです。
自動可動域
自動運動で動かせる角度のことです。写真の場合、右肩の自動屈曲(腕を体の前から上げる運動)の可動域は150度になります。
他動運動
逆の手を使って動かす運動です。または、他の人に動かしてもらう運動です。
他動可動域
他動運動で動く関節の角度です。写真の右肩の他動屈曲の可動域は90度になります。
拘縮
靱帯や筋肉、皮膚などの軟部組織が原因で関節の他動可動域が制限されることです。
症状
五十肩の経過は、3つの病期に分かれています。炎症期→拘縮期→回復期と進みます。それぞれの間は、厳密に分かれておらず、両方の症状がある時期があります。
では、各病期の症状を解説します。
炎症期、拘縮期で肩に何が起きているか、「 五十肩!肩がどうなっている?専門医が解説 」で説明しています。この記事を読むと「どうしてそういう症状になるのか」を理解しやすいです。
炎症期=肩の関節包が炎症を起こすので、痛みが主な症状
ある日突然、肩や上腕部分に痛みを感じます。最初は安静時のうずくような痛み、動作時の強い痛みです。そして徐々に、これらの痛みが増強していきます。
夜間の痛みも強く、夜中や朝方に目が覚めてしまいます。特に痛い方の肩を下にして、眠ると痛みが増強します。
痛みは伴いますが自動運動、他動運動はあまり制限されません。つまり自動可動域、他動可動域は比較的保たれています。
もちろん痛みのピーク時には、痛みのためあまり動かせなくなります。
ときどき、肩や上腕、前腕にしびれ感を訴える方もいます。
炎症期は2~9か月続くという報告があります。
拘縮期=肩の関節包が線維化を起こすで、肩の可動域制限が出る
少し痛みが楽になってきます。
代わりに徐々に全方向の自動運動、他動運動が制限されてきます。つまり自動可動域、他動可動域が制限されます(小さくなります)。痛みを我慢して、いい方の手を使って動かそうとしても動きません。この状態を拘縮と言います。映像を見てみましょう。腕を前から上げる運動(屈曲)を例に解説しています。自分の力でも、逆の手で手伝っても途中までしか動きません。
こういう現象が、外転や外旋、内旋、結帯などでも起こります。夜間痛も少し和らぎますが、継続していることが多いです。
拘縮期は3~12カ月続くという報告があります。
回復期=可動域が徐々に回復する
可動域が徐々に回復していきます。痛みも徐々に少なくなっていきます。
ただし、最終的にある程度の症状が残ることがあります。
回復期は5~26か月続くという報告があります。
まとめ
痛みと可動域制限の時間経過をグラフで表すと下図のようになります。
いろいろな論文でも症状の経過、継続期間、最終的な症状にかなり違いがあります。
私の経験上も、かなり個人差があります。
そのため、個人個人の症状や仕事、家庭環境などを考慮して治療していくことが大事になります。
今後、五十肩になりやすい人、病気の予後、診断や治療法などについて解説していく予定です。ぜひご覧ください。