五十肩(凍結肩)!肩がどうなっている?専門医が解説

こんにちは。札幌市豊平区の日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医の合六孝広です。

中高年で肩の痛みにお困りの皆様!肩の痛みと言えば、五十肩を思い浮かべる人が多いと思います。
でも、肩に何が起きているかご存じの方は少ないと思います。

この記事は、以下のような人におすすめ!

・病院で五十肩と言われた人

・肩の痛みが続いている中高年の方

この記事を読めば、五十肩で何が起こっているか解ります。

五十肩を理解するために必要な解剖

右肩の模型を使って、説明します。

A:正面写真、B:側面写真、C:後面写真、D:下面写真

肩甲骨と上腕骨(腕の骨)をつなぐ組織を関節包と言います。写真の矢印で指した水色の部分です。それぞれの骨の軟骨近くから始まります。その名の通り、関節を包み込んでます。

肩を断面図で見ると

肩甲骨腕骨の間にある  の線が関節包です。ゆったりと広がっています。その上には、腱板という筋肉があります。さらに外側には、三角筋などの大きな筋肉があります。

右肩正面断面図シェーマ

起こっていることは?

炎症期

拘縮期

まず炎症期と呼ばれる状態になります。その後、拘縮期と呼ばれる状態に移行します。そして多くの人が、徐々に症状が改善していく回復期になり、治癒します。

炎症期

関節包に炎症(炎)が起こります。関節包には、炎症細胞の増加や炎症を悪化させる物質が多くなっていることが証明されています。同時に関節包に入る異常血管が形成され、それに伴い関節包は微小血管増加、充血します。さらに微小血管の周囲には、血管を新生させる物質が増加しているので、さらなる微小血管が新生されると考えられています。

また関節包に神経組織の新生、増加が起きています。凍結肩で強い痛みがあるのは、この神経組織の増加が関係していると考えられています。

この慢性炎症がしばらく持続します。

拘縮期

関節包の線維化が起こります。そのため、関節包全体としては肥厚、短縮が起こります。肩断面図シェーマで緑の線で曲線状に描かれていた関節包が、太く短い青い直線 のようになるイメージです。
関節包のコラーゲンは密になり、線維化に関係する細胞が多くなります。

正常ではほとんど存在しない軟骨の成分が豊富になります(軟骨化生)。軟骨形成に関係する複数の遺伝子の発現が多くなっていることが分かっています。

また関節包の物質特性も変わり、単に肥厚しているだけでなく関節包の組織自体も硬く、弾力性がない状態です。凍結肩とも言われる病名のとおり、肩がカチカチになるわけです。

まとめ

1.五十肩では、最初に肩の関節包の炎症が起こります(炎症期)。

2. その後、肩の関節包の線維化、軟骨化生が起こります(拘縮期)。

今後、五十肩の診断方法や治療法などに関する記事を書く予定です。そちらもぜひお読みください。

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