五十肩(凍結肩)の治し方!亜急性期の治療を専門医が解説

こんにちは。札幌市豊平区の日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医の合六孝広です。

この記事はこんな人におすすめ

・病院で五十肩と言われた方

・五十肩の痛みが改善しない人

この記事を読めば、五十肩の亜急性期(炎症期から拘縮期への移行期)の治療法がわかります。

治療の基本方針

炎症期と拘縮期は明確に分かれていません。両者の症状が混在している時期があります。
症状は、
・非常に強い痛みは軽減しているけど、動かすと辛い痛みがまだある。
・肩の動きが、徐々に悪くなってきている

状態です。

行う治療は、
1.引き続き、痛みを和らげる治療を継続する
2.筋肉の過緊張を緩和する
3.肩甲骨の動きを回復させる

となります。

では、以下で詳しく解説します。

痛みを和らげる治療の継続

1.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服
2.トラマドール・アセトアミノフェン配合錠の内服、
3.ヒアルロン酸の関節注射

 これらの治療は、痛みの程度に合わせて継続します。全て行ってもいいですし、いずれかだけ選択して行ってもいいです。

4.ステロイドの関節内注射
 痛みが強ければ、もう一度行います。私はケナコルトという薬を使用してます。通常、1回目の注射から3か月くらい期間をあけてから行ってます。
 ステロイドはあまり注射しすぎると腱板というとても大事な腱が弱くなり、ひどい時は断裂してしまいます。また軟骨も痛めます。頻回な注射はお勧めできません。

筋肉の過緊張の緩和

五十肩では、筋肉の反射性収縮による過緊張が起こっています。

特に伸展、内転、内旋に働く筋肉の過緊張が強いことが多いです。本格的な動きを良くする運動を開始する前に、これらの筋肉の緊張を和らげておきます。

方法は、筋肉の収縮と弛緩を繰り返します。痛みが出ない範囲で行います。筋肉は使っていないと痩せてきます。この運動は、筋萎縮の予防にもなります。

1セット、10回から30回 朝、昼、晩 3セット行います。

肩のリハビリ 「筋緊張を取る運動」

肩甲骨の動きを回復させる

いきなり肩関節(肩甲骨と上腕骨の間で動く関節)を動かすと、炎症が再燃してしまいます。

まずは肩甲骨を動かす運動をします。これによって、肩甲骨と胸郭の間の動きを回復させていきます。また肩甲骨の動きが悪くなると、五十肩が治ったとしても肩の機能が落ちてしまいます。それを予防するためにも重要です。

この運動のポイントは、腕は動かさない。あくまでも動かすのは、肩甲骨です。肩甲骨を動かしていることを意識しながら、ゆっくり動かしましょう。

肩のリハビリ 「肩甲骨の運動」

まとめ

亜急性期の治療は、

「 痛みをコントロールしながら、筋肉の緊張を取る、肩甲骨の動きを回復する。」です

焦らないことが大事です。

通常1~3年かかる病気です。人から3~4か月で治ったという話を聞くことがあるかもしれません。多くの場合、それは本当の五十肩(凍結肩)ではありません。日本では、以前肩が痛いと何でも「五十肩」と診断されていた悪習が、残念ながら一部で残っています。

きちんとした診断のもと、焦らずに治療していきましょう。

今後、五十肩の慢性期(拘縮期、回復期)の治療法や治りにくい人はどんな人かなど、五十肩に関することを解説していく予定です。そちらもぜひご覧ください。

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